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彼女が□□した日。

第1章 虹。


side:コウ


二ヶ月前。


二ヶ月、前。


・・・・・・何かあったっけかな。
二ヶ月前って言えば、ちょうどヒメ猫ちゃんがうちの事務所に自分で作ってる曲の調整をしてた頃だよね。

新曲作りたいって言ってて・・・いつになくやる気になってたっけ。
そう言えばヒメ猫ちゃんてば、事務所の打ち合わせ室であーでもないこーでもないとかうんうん百面相してたっけ。オレが打ち合わせ室に入ったってのに全然気づかなくて、なんか閃いたらパアッて花が咲いたみたいに笑顔になって。



とくん



・・・。

・・・ん、?
ちょっと待って、なに今の。


今、ヒメ猫ちゃんの笑ってたの思い出しただけだよね。
なのになんで今、胸が変な感じになったんだろ。


あの時、ヒメ猫ちゃんの笑顔見て・・・。
ヒメ猫ちゃんの笑顔が、オレに向けられて・・・。




コウ「・・・??」

アズサ「・・・・・・コウ・・・?」

コウ「・・・あ、そっか。
オレ・・・」




──イオ『おお無神クン!
聞いておくれよ、今いい感じに閃いたんだよー!』──

眩しいくらいの笑顔。
いっつもふわふわ掴みどころがない感じなのに、あの時だけはしっかりとオレを見てくれた。


すぐにまた曲作りに没頭しちゃったけど・・・。
あの時、オレはヒメ猫ちゃんの血を吸ってみたいって思ったんだ。




ルキ「・・・なにか思い出したか?」

コウ「多分、ね。
・・・オレ、血を吸いたい子が居るんだけど・・・その子以外の血を吸いたくないみたい」

ユーマ「・・・はあ?
んだそりゃ、吸いたいんだったら吸えばいいだろうが。なんだよ、吸いたくねえって」

コウ「なんか、よくわかんないけど・・・吸いたくないの!」




今思えばそうだ。

それまでは吸う気なんて起きなかったヒメ猫ちゃんが、他の誰でもないオレに笑顔を向けてくれたんだ。
それからだ。

それから、暇を見つけたらヒメ猫ちゃんを探していて。
また笑顔が見たいって、求めちゃうんだ。


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