第4章 風。
リビングから廊下に出て、スマホの画面を見ると長社さんからの電話みたいだ。
イオ「もしもし?」
長社『午前中振りだね、陽代くん。
ちょっと君に、朗報があって電話したんだ』
イオ「朗報、ですか」
長社『さっき陽代くんの新曲、聞いたんだけどね。
・・・ビビッときちゃったよー?ビビッて!
これ君のファンとかリスナーが聞いたら発狂しちゃうよ!?』
イオ「発狂って・・・大袈裟に言い過ぎですよ」
長社『いやいやいやいや、本当にいい曲だからね!?
その証拠に、来月やるジャラフェスのじっこういいん出演依頼まで貰っちゃったんだよ?』
イオ「(いつになくテンション高いな・・・)
って、ん?・・・え、今なんて?」
長社『来月開催される、色んな事務所の歌手が集まって開催されるジャラフェスへの出演依頼が貰えたんだよ!』
イオ「・・・またまたー。
ジャラフェスは今をときめく歌手とか国民的アイドルが厳正な審査を突破して出れるもので、私は世間じゃ無名ですしそもそも出演者は確定してるはずですよ?」
長社『確定日は今日までだよ。
ちょうどシンガーソングライター枠が空いてたから、陽代くんのこの間のラジオ生ライブの録画で申し込んでみたら・・・ついさっき、出演依頼がきてね。
びっくりしたのなんのって!』
イオ「・・・本当にきたんですか?」
長社『うん』
イオ「エイプリルフールは今日じゃないですよ?」
長社『うん、そうだね』
イオ「・・・えっ、本当に・・・ジャラフェスに私みたいな無名なアンダーグラウンドなシンガーソングライターが出れるん・・・ですか?」
コウ「出れるよ。
ほら、ここ。出演者リスト」
イオ「・・・あ、本当だ。
私の名前が載って・・・って、なんでコウくん居るのさ」
コウ「ジャラフェスの出演応募の締切今日だから、誰が出るのか気になって見てみたらそこにヒメ猫ちゃんの名前あったからさ。教えてあげようと思って」
長社『え、無神くん?
ちょ、ちょっと陽代くん・・・君まさか・・・』
イオ「同棲してないです。遊びに来てるだけですからね」
ちぇ、つまんないの。と言われた。
あんたそれでも芸能事務所の社長か。