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彼女が□□した日。

第1章 虹。


side:コウ


アズサ「その子・・・コウが、ヴァンパイアだって・・・知らないの?」

コウ「、そりゃ・・・普通言わないでしょ」

アズサ「・・・どうして・・・?」

コウ「だって、いきなりヴァンパイアってカミングアウトしても変な風に見られるだけだし」

ルキ「つまり、お前は嫌われたくないんだな」

コウ「・・・・・・、えっ」




そんなにきつい喋り方じゃないのに、ルキくんのその言葉にオレの思考はストップした。


嫌われたくない?
・・・嫌われたくない?

誰が?誰に・・・?

・・・オレが、ヒメ猫ちゃんに・・・嫌われたくない・・・?
ヒメ猫ちゃんが、オレを・・・嫌う・・・・・・?




ルキ「違うのか。
お前は、そいつに自分がヴァンパイアだと知られて避けられるのが怖いんだろう?」

コウ「・・・そんなんじゃ・・・、・・・」

ユーマ「じゃあさっさとそいつに言って吸っちまえばいいだろ。
それか知られる前に目隠しとかして吸い殺すとかよぉ。それなら別に問題ねえだろ?」

コウ「っそんな事出来るわけないだろ!?」




吸い殺す。

それを聞いた瞬間、頭に血が上るのが解った。


それは、だめだ。
それだけは。

殺したら、死んじゃったら・・・ヒメ猫ちゃんの笑顔だけじゃなくて、ヒメ猫ちゃん・・・イオちゃんに会う事も出来なくなる。
そんなの、いやだ。




ルキ「・・・コウ、落ち着け」

コウ「落ち着けるわけ、無いだろ!
殺すだなんて、そんな・・・っっ・・・そんな事・・・!!」



ぽたっ



アズサ「・・・あ・・・、コウっ」




ふと、アズサくんが慌てるようにオレの名前を呼んだ。

今度はなんだよ、と思った時に真っ白いテーブルクロスの赤い点が目に映った。
・・・なにこれ。


そう言えば右手が痛い気がする。
見ればギリ、と無意識に拳を握っていた。
爪が食い込んで血が出ちゃったのか。


血が出るのって、痛かったんだ。って他人行儀に考えてたのもつかの間で。



ぐらり



アズサくんだけじゃなくてユーマくんとルキくんの慌てる声が耳に届いた瞬間。視界が揺れて意識が遠のいていった。


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