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彼女が□□した日。

第3章 血。


side:ルキ

ギッ


イオ「ていっ」

ルキ「、・・・どう言うつもりだ」




互いにベッドに腰掛けていたのに、イオが唐突に俺の腕を掴んでわざと自分が押し倒される状態にさせた。

退くべきか考えるも、取り敢えずこの行動の目的を問う。




イオ「私、自分の命をそんなに軽く見てないよ。
・・・死にたくないなら死にものぐるいで抵抗するし、助けも求めるし」

ルキ「・・・・・・お前が助かり、それで誰かが死んでもか?」

イオ「・・・私、後悔だけはしたくないんだ。
だからやる事をやり尽くしてそれでもそうなっちゃったら、受け入れるしかないと思う」

ルキ「・・・綺麗事だな。
人間は弱く脆い。他人の死をそう易々と受け入れられるはずも無いだろう」

イオ「そう、かもね・・・。
それでも、長い時間かかっちゃうかもしれないけど・・・その人の死から逃げちゃいけないと思うんだ」

ルキ「・・・そうか・・・」

イオ「でもね、ルキさん」




・・・なんだ。

何が、言いたい。
イオが何を言いたいのかがまるで解らない。




イオ「今、ここに居るのは見ず知らずじゃなくて、知り合えて言葉を交わせるルキさんなんだ。
ルキさんが倒れたら、私はすっごい後悔すると思う。・・・だから、私の血・・・好きなだけ吸っていいよ」




ふわり、とイオが静かに微笑んだ。

それは言わずとも本心から言っている言葉なのだと理解した。
吸われても嫌わない、ヴァンパイアの俺を受け入れる。

心の底からそう思っている。
心の底からそう思われている。
それはくだらない愛情とはほど遠い・・・優しさ。


とうに無くしたはずの心臓が、どこかで脈打った。




ルキ「・・・、・・・・・・っ・・・」

イオ「、んっ・・・・・・」




気づけば俺はイオの首筋にキバを突き立てていた。

コイツが言っているのは綺麗事に過ぎないかもしれない。
だが、何故か不思議とイオならそれでもいいと思えた。

それがどんな理由にしろ、たった今まで目の前に居るイオが心の底から笑った。
俺にその笑顔が向けられた瞬間、言い知れぬ感覚を感じた。


嫌われても構わない。
イオの血を、吸ってみたい。と。
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