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彼女が□□した日。

第3章 血。


side:ルキ

パリィン・・・ッ!



イオ「っわ・・・!?」

ルキ「・・・、っ!」

イオ「え、あ・・・ルキさん?」




完全なる不注意だった。


イオに教えながら焦がす事もなく無事に作り終え、その出来上がったハンバーグを皿に盛り付けようと思って手を伸ばした。
その時、不意に軽く眩暈がして手を滑らせて手に持ったばかりの皿を床に落としてしまった。

当然のようにその皿は木っ端微塵になり、割れた音に驚いたイオがすぐに把握して俺に声をかけてきた。




ルキ「・・・っ・・・すまない、手が滑った。
派手に割ってしまったな・・・すぐ片付けよう」

イオ「あ、うん。
箒(ほうき)とか塵取(ちりとり)は?」

ルキ「・・・キッチンを出た先の廊下の、曲がり角だ」




俺がそう答えればん「じゃ持って来る。ルキさんはちょっと休んでなよ、私片付けるから」と言ってイオはキッチンを後にした。

・・・不甲斐ないな。
最近はあの御方の言う、イブの素質がある女を探す事に時間を使ってばかりで吸血を疎かにしてしまっていた。


最後に血を吸ったのは、確か教会が二週間前くらいに寄越してきた女だったか。
二週間。吸わないだけでもこんなに身体に堪えるとは。
これを二ヶ月も我慢してきたコウはよく耐えられたものだ。


ただ待っているのも、イオの言う通り休むのもどうかと思い俺はしゃがんで割れた皿の破片を拾い始めた。

その内掃除用具を持って戻って来たイオに『休んでてって言ったのに』とぼやかれながらも怪我をする事なく綺麗に拾い終えた。


破片を片付け終えて、改めて盛り付けようとすればイオに呼び止められる。

するとイオが俺と目を合わせてきた。




イオ「顔色。
辛そうだよ?」

ルキ「まだ大丈夫だ」

イオ「大丈夫そうに見えないから言ってんの。
本当はさっきのリムジンの中で吸うはずだったんでしょ。
ルキさんが倒れたら、コウくん達心配するよ?
もちろん私も心配するし」

ルキ「・・・・・・」




確かに、言われていた。

直接血を吸って、俺自身も血の味を確かめてみろ。とも。


・・・人間風情に心配されるとは、な。
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