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彼女が□□した日。

第3章 血。


side ルキ

素質があるか、もう少し探りを入れて観察してみたい。
どれほどの人間なのか確かめてみてくれ。




そう伝えられたのは、ユーマがイオの血を吸った夜の事だった。

その日は帰ってきて早々にユーマがいつになく体調が優れていた理由が、イオの血を吸血したからだと知ったのには少し驚いた。


コウはイオの血しか飲みたくないと言う一心で吸血衝動を抑えていた。
アズサやユーマは、たまに教会から寄越される女の血を吸っていた。

まあ、その寄越される女はすぐに使い物にならなくなるのだが。
どの女も血の味はとても褒められたものではなく、それでも飲まないよりはマシだった。


それなのに、ユーマは「アイツの血は美味い」と言った。
聞くところによると、コウと同じくやはり少ししか飲んでいないとか。

・・・見た目はごく普通の人間の女なのに、血の味は二人からすれば好評価。
ならば何故、イオからは血の匂いがしない?


二人と同じように、俺もイオの笑顔とやらを目の当たりにすれば何かしらの変化があるのだろうか。




そして今日。

あの御方から伝えられた事もあって、俺はイオを誘い入れた。
別に口実はなんだっていい。
コウが相手をしてやってくれと言っていたしイオも料理をするようだったからそれを口実にした。

二つ返事で了承され、買い物へ向かう。
徒歩を提案するところを見ると、普段あまり接点の無い俺に対しての抵抗のような感情は感じなかった。


・・・問題は、その後だ。
いつもの買出し先の店に逆巻の五男が訪れてばったり遭遇するなんて、まったくの想定外だった。


後をつけられて路地裏でイオにキスマークまで付けられた。
無防備に。
その無防備だと言う意味も理解していなかったようだ。

奴の様子からして、イオが気に入られたのは確定事項だろう。


そして今・・・帰りのリムジンの中でイオは「嫌いになったりなんてしない」と断言してきた。

普通ならば有り得ない。
有り得ない、はずなのに。


よく解らない奴だ。

とにかく。
あの御方からの使い魔であろう赤目のコウモリの視線を何処からか感じ取りながら、俺は当初の目的だったイオとの料理を始める事にした。

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