第3章 血。
サクサクと森を歩きながら、隣を歩くルキさんと喋る。
喋るっつーか私がルキさんに話しかけてそれを受け答えしてもらってるだけなんだけども。
イオ「あ、ところでさー」
ルキ「・・・なんだ」
イオ「今日はあんまり良くないね。顔色」
ルキ「・・・・・・」
イオ「朝キツかったんなら夕方呼んでくれれば良かったのに」
ルキ「・・・見くびるな。
別に平気だ」
イオ「えー、そうかなあ」
ルキ「大体、なぜそう思う」
イオ「私ねー、人の表情の変化に敏感なんだ。
表情筋が硬い私が言うのもアレなんだけど。
今日のルキさんはほんの少しだけ顔色悪いよ?」
ルキ「・・・他人の心配をするよりも、自分の心配をするのが普通じゃないのか?」
イオ「え、なんで?
私は至って健康だよー」
ルキ「そう言う意味じゃない」
なんだろう、本気で解んないや。
誰かの心配をするよりも自分の心配?
・・・うーん、健康面じゃないとするとなんなんだろう。
うーんと首をかしげて考える。
そんな私を見兼ねたのか呆れたのか、多分後者だと思うけどルキさんは溜め息をついた。
ルキ「・・・ヴァンパイアと一緒に行動すれば血を吸われる可能性が高くなると言う事だ。
現にお前はコウとユーマに吸われただろう」
イオ「あー、そゆ事ね。
まあ確かに吸われたけど、なんで吸われる心配するの?」
ルキ「・・・・・・怖くないのか?」
イオ「なにが?」
キョトンとルキさんを見つめれば、また溜め息をつかれた。
ルキ「吸い殺されないか、と言う心配だ。
俺達ヴァンパイアにとって、お前達人間はエサ・・・それ以下にもそれ以上にもならない。
そうでなくとも、吸われ続けるとヴァンパイアになってしまう」
イオ「まあ吸う吸われるの間柄だしねー。
てか、え。人間ってヴァンパイアになれるものなの?」
出会ってほんの数日だけど、ルキさんが嘘をつくような人じゃないってのは解る。・・・シュールな嘘とか言ってきそうな気もするけど。