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彼女が□□した日。

第2章 家。


side:ユーマ


あー、やべえ。

多分コウも魅せられたんだ。
普段ヘラヘラ浮かべてる笑みじゃなくて、ふとした瞬間に見せる笑顔。
愛想笑いとか、上っ面だけの笑いなんかじゃねえ。

イオのは、純粋な笑顔だ。




ユーマ「・・・反則だろ。
あの笑顔は」




吸う気なんて、無かった。
大して美味そうな匂いもしねえから、尚更。



吸う気ゼロだったのに、無性に吸ってみたい気持ちに駆られた。
アイツの笑顔は、やべえ。
何がどうやばいかって聞かれても、多分答えられねえ。


・・・あれだ。
吸いたいけど、吸い殺したくない。
この言葉がしっくりくる。


血はマジで美味かった。
今まで吸ってきた人間の中でダントツ。

でも、吸い殺したくはない。




ユーマ「(理由が解んねえから尚更腹立つ・・・。
でもなんつーか・・・・・・アイツと一緒に居るのは悪くねえんだよな)」




兄弟とは人間だった頃から出会って、ヴァンパイアになってからも本当の家族みたいな感じだった事もあってか居心地がいいのは当然だ。

でも、イオは出会って数日。
それも顔を合わせたのは2回目。
それなのに。
あいつの前だと自然体で居られる。



ガシガシ頭を掻きながら、その理由を頭ん中で考える。




コウ「あれっ、ユーマくん??
水出しっぱなしにしたまま何やってんの?」

ユーマ「あ?
・・・・・・っと、やっべ忘れてた・・・」




聞き慣れた兄弟の声でハッとした。


言われてすぐに水道のノズルを閉めた。
コウが帰って来たって事は・・・もう夕方かよ。
イオの血を吸って、その後休ませてやってから帰らせたのはまだ日が昇ってた時間帯だったはず・・・。




コウ「珍しいね、ユーマくんがぼーっとしてるなんてさ。何か考え事?」

ユーマ「・・・まあな」




洗い終わった野菜達をザルに戻して、冷蔵室に保存した。

キッチンからリビングに向かってるとコウが「あ、そう言えば」と何か思い出したように呟いた。


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