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彼女が□□した日。

第2章 家。


side:ユーマ


イオ「・・・ユーマくん・・・?」

ユーマ「うっせえ、黙ってろ・・・」




押し倒されたっつーのにバカみたいに不思議そうに俺を見上げてくるイオ。

歩く度に不規則に揺れてた紺色とアッシュグレーのぼさついてる髪は、ソファーに無造作に散らばってる。


気づかなかったけど、コイツ軽く香水でもつけてんのか?
こう至近距離に居てようやく匂いが嗅ぎ分けられるレベルの。なんの種類か解んねえけど、そこら辺に居る女どもみたいにキツくない匂い。


今は6月。
季節的にも梅雨って事で雨が多い。
灰色のパーカーの下は薄オレンジのキャミソールを着てる。まさか押し倒されるとは思っても見なかったのか、パーカーのジッパーは全開。
・・・無防備過ぎるだろ。




ユーマ「てめえのせいだぞ・・・」

イオ「え、なにが?」

ユーマ「てめえのせいで、喉渇いたっつってんだよ。
血ぃ・・・吸わせろよ」

イオ「・・・さっき水飲んでたのに?」

ユーマ「バーカ、ヴァンパイアの喉を潤すのは血しかねえんだよ。
・・・んっ・・・・・・」




怖がりもしねえで俺のキバを受け入れる。

さすがに痛みは感じるのか、イオの喉元にキバを突き立ててやれば一瞬だけ「・・・っぅ、」と声を発した。


食う時とか痛覚は人間なんだな。とか頭の片隅で思いながら溢れ出てきたイオの血を啜った。




イオ「、・・・・・・っ・・・」

ユーマ「・・・ん・・・・・・っ、は・・・・・・。
・・・・・・チュ・・・。・・・ゴクッ・・・・・・・・・」

イオ「・・・ぅ、・・・・・・っ」




・・・なんだ、これ。

甘い。
ついさっき食ったシュガーちゃんよりも、甘い味がする。

吸う度にコイツの血が喉を潤して身体中に染み渡っていくみてえだ。


甘い。
けれど、甘い以外になんつったら良いのか解んねえ味がする。
甘ったるくなくて。
一口飲んで、吸い尽くしてやろうって考えは失せた。

・・・なんだよ、これ。
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