第2章 家。
side:ユーマ
もぐ、
・・・ぱくぱく
もぐもぐ
一口、また一口と食べ進む。
なんだよ、人間らしいトコロあるじゃねえか。
こうやって食い物を食ってる姿は普通の人間だ。
ズレてるのは、コイツの中身か。
目の前に俺が居るのもお構い無しに、イオはどんどん食べていった。
リビングにはぱくぱくと健気に食べる咀嚼音だけか聞こえる。
ユーマ「どうだよ、お前が普段食わねえ昼に食う食い物の味は?」
俺に言われて食い始めて、イオは数分でトマトを完食した。へたは前もって取っておいたから、文字通りの完食。
コイツに手伝わせて採らせたミニトマトじゃなくて、そのミニトマトの横にあった普通のトマト。
ミニトマトだけじゃ腹の足しにならねえだろうと思ってそれにした。
食い終わった時に俺がイオにそう聞けば、息をひとつ吐いて目の前に立つ俺を見上げてきた。
イオ「ユーマくん、すっごい美味しかったよ・・・ご馳走様でした!」
ユーマ「・・・・・・、・・・っ・・・・・・・・・!!」
おい。
なんだよ。
これ。
この、目の前にある表情。
ぼけっとした無表情しか見せなかったイオが、俺に見せている表情。
一片の曇りの無い、紛れもない笑顔。そうだ、笑顔だ。
その笑顔を見た瞬間。
俺の身体は頭が信号を送るよりも早くに動いていた。
どんっ
イオ「わ・・・!
えっ、お・・・?」
男が座っても余裕なスペースがあるソファー。
コイツが横になってたのがこのソファーで良かったと思った。
ソファーじゃなくてもどこでもいいんだけどよ。
ふざけんなよ。
なんだよこれ。
なんだよ、それ。
苛ついてる?
違う。
これは。
この、うるさく鳴り響く胸の高鳴り。
気づいたら、俺はイオの事を押し倒していた。
あー、クソッ。
喉が渇いてきやがった。