第2章 家。
side:ユーマ
コウの言っていた「ズレてる」って意味が、なんとなく解った。
コイツと話せば話すほど、コイツがズレてるのが普通なんだと納得してしまう。
ユーマ「・・・ちっ」
イオ「あれ、なんで舌打ちー?」
ユーマ「てめえと話してて疲れたんだよ」
イオ「あらま。
それはお疲れ様ー」
ユーマ「・・・てめえ俺の事ナメてんだろ」
イオ「やだなー、イライラしないの。ナメてなんかないしー。
カルシウムとか糖分はちゃんと摂ってるのかい?」
ユーマ「苛つかせてんのはてめえだろ・・・!
・・・っあー、むしゃくしゃする」
イオ「あら、そだったの?
イライラは身体に毒だよー、飴ちゃんあげよっか?ブルーベリー味だけど」
ユーマ「要らねえよ。
俺にはシュガーちゃんがあるしな」
てめえなんかに言われなくても、俺はきちんと甘いもん食ってるっつーの。
プラスチックケースを取り出した。畑仕事の後は水分補給とコレに限る。
ケースの中からシュガーちゃんを1つ出して、口に運んだ。
ガリッと音を立ててシュガーちゃんを齧(かじ)れば、いつものように甘さが広がった。
イオ「おー?
シュガーちゃんとやらは角砂糖の事なんだね。
ユーマくんって甘党?」
ユーマ「だったらなんだよ」
イオ「糖分が足りてるようで何より』」
ユーマ「・・・・・・・・・」
イオ「ありゃ、またイライラさせちゃった?」
どこか間の抜けた声質に、またイライラさせられた。
なんでコイツこんなに飄々としてんだよ。
四日前に初めて会った時もそうだ。
いつでもどこでも余裕な感じで、それでいて何を考えてるのかまるで解らない。
少しは表情筋を働かせるとかしねえのかよ。
声のトーンを変えるだけで、表情はヘラヘラしてんのからちっとも変えやしねえ。
それが癪に障る。
しかも横になりながらヘラヘラしてやがる。
何か、何か無ぇかな・・・。
コイツの表情を、なんでもいいから変えさせる何か。