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彼女が□□した日。

第2章 家。


side ユーマ


なんでも無いように、イオは喋った。
自分が周りからズレてる事を。
それを解った上で、受け入れてる事を。


気にしていない。
気にしないようにしている。
気づかない振りをしている。

そう言うのじゃ、ない。


ほんの数日前、コウが吸血すんのを我慢してぶっ倒れた。
その理由が、こいつ。イオ。
吸いたいけど吸いたくねえ。そんな矛盾してる事を言っていた。

人間なんて俺達ヴァンパイアのエサ。
エサは食われて当然。
なら、そのエサを食って何が悪い。


そもそもヴァンパイアなんだから血を吸わねえと生きれねえ、ってのは常識だろ。

それをコウの奴・・・。



とにかく。
イオがあんまり普通に喋るもんだから、逆にそれが苛ついた。




ユーマ「・・・アホくせえ。
ズレてるとか言ってても、お前も人間だろうが」

イオ「んー、人間ってなんだろうね?」

ユーマ「・・・は?」




突拍子も無く聞かれた質問に、俺は思わず持ってたペットボトルを落としそうになった。

なんだコイツ。




イオ「頭があって、手足があるから人間。
五体満足でも五体不満足でも人間。
臓器が全部あっても臓器が欠落してても人間。
何を基準にして、人間って言えるんだろう?」

ユーマ「・・・ん、なの・・・俺が知るかよ」

イオ「うん、私も知らないや」




コイツ、マジでなんなんだよ。




イオ「別にさ。
私が人間だろうと人外だろうとどうでもいいんだ」

ユーマ「どうでもいい?
なんでだよ」

イオ「どんな形であれ、私は私だもん。
周りの価値観を気にして生きるとか窮屈でつまんないじゃん、それだったら自分の価値観で生きてズレた方がマシだよ」

ユーマ「・・・なに言ってんだお前?」

イオ「んー、そうだなあ。
要するに私がどんな存在でも、それが私なんだよ」




なるほど、コイツは確かに変わってる。

聞けば聞くほどに訳が解んなくなってくる事を言われて、これがコイツの普通なんだと解った。
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