第1章 虹。
ベッドの上にコウくんと向き合って座る。
少しだけ首元が広くなってるセーターっぽいインナーを着てるからそっちの方がいいかなーと思って、上に着ていたパーカーを脱いだ。
やっぱり首筋から吸うみたいだ。
コウくんが少し躊躇い(ためらい)がちに私の首筋の左を優しく撫でてきた。
イオ「なんか変に緊張してきた・・・。
一思いにパッと吸っておくれよコウくん」
コウ「・・・まったく、勝手に緊張しといて緊張感壊さないでよ。
それでよく自分から血を吸わせようと思ったね・・・」
イオ「なにぶん吸わせるのも吸われるのも未知の領域なものでね」
コウ「・・・ははっ、そんな事言うのヒメ猫ちゃんだけだよ。
・・・・・・噛んでいい?」
イオ「あ、うん」
撫でていた手を肩に置かれて、コウくんの顔が首に近づく。
・・・相っ変わらずの美形だなー。
首筋に顔を寄せられてコウくんのサラサラな金髪が肌を掠めた。
なんかの香水使ってるのかな、ほんのり爽やかな香りがする。
どんくらい痛いんだろ。
と思ってた矢先に、プツッと何かが刺さる音が小さく聞こえた。
コウ「・・・んっ・・・・・・」
イオ「、・・・・・・」
コウ「・・・・・・ん、んっ・・・・・・」
わ、本当に吸血鬼なんだ。
コウくんから噛まれてる所がジワッてなる。
ポカポカしてるような、麻酔がかかってるような・・・なんて言うか注射されてジワジワゆっくり血を抜かれてく感じ。
コウ「は・・・・・・っ、ん・・・」
イオ「・・・っ、・・・う・・・」
何かを飲む音が、今が現実だと教えてくれてるみたいだ。
途中途中コウくんが息継ぎをする。
献血並に体外へと無くなっていく感覚に、思わず息を漏らす。
その声にコウくんが口を離した。
コウ「・・・、ヒメ猫・・・ちゃん。痛い?」
イオ「・・・痛いっちゃ痛いけど、耐えれる。
そっちこそ、大丈夫?・・・その、味とか」
コウ「大丈夫。寧ろ、すっごい美味しい・・・。
・・・もっと、吸ってもいい?」
お見舞いに来た時よりも良くなってる顔色に安心して、私は頷いた。