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彼女が□□した日。

第1章 虹。


バサバサ、


タッタッタッタッ


バサバサっ


タッタッタッタッ


バサバサーッ



ひったくりコウモリを見失わないように走る。

ちっくせう、あのコウモリ・・・チラチラこっちを時折見てくるぞ。しかももっと速く飛べるのにわざと私の走る速さに合わせてるよ。


あの赤い目が「着いて来ないとこれ落とすけどいいの?」って言ってる気がする・・・!
いや、まあ壊れはしないと思うけど同居人からの唯一のプレゼントだから傷はなるべくつけたくない。




日中の神無町をコウモリと鬼ごっこするなんて、史上初なんじゃないだろうか。

夜は夜で活気があるんだけど、日中は日中で人気(ひとけ)がある。当たり前だけどね。
今日は平日だけど、観光とか買い物に出歩く人が主だ。人混みとまではいかないけど通行人は居るわけで。

すれ違ってく人みんな私を何事かと見てくる。
それにぶつからないようにしながら、コウモリを追いかける。


バサッ


イオ「うっおぅ、まさかのカーブ・・・だと・・・?」




つーかもうさすがに疲れてきた。

事務所から走り続ける事数分。
シャトルランでもしてるみたいだ。

まったくの引きこもりとかじゃないけど、私はそんなに運動量は多くない。
現在進行形で数分しか走ってないのに軽く息が上がってきてる。


そんな事はお構い無しにコウモリは街路から路地に入って数メートル先で滞空して・・・・・・って、ん?




イオ「・・・あっれ?
もしかして、走んなくても別に飛び去ら・・・ない?」




不思議に思って、コウモリを改めて見る。
するとコウモリはチラチラと私を見てきた。

・・・え、まじでどこかに誘導しようとしてんの?




イオ「・・・コウモリくん、君が私をどこかに連れて行きたいのかは知ったこっちゃないんだけど・・・私は同期の無神クンの所に行きたいんだよね。だから、それ返しておくれよ」




ダメ元で言ってみた。

そしてコウモリくんと目が合う。
お?お?


・・・バサッ


やっぱダメ元だった。
コウモリくん、目が合ったと思ったら即行数メートル進んだ。
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