第1章 コワレル
「花村っち〜、ちょっと言いにくいんスけど...下の名前、教えて...?」
「え?」
次の日、1番にそんなことを聞かれた。
当然私は、拍子抜けで...。
だって、黄瀬君がそんなこと聞くなんて...。
中学の頃からずっと一緒なのに、なんで知らないの?より、何故か嬉しさが勝っていた。
「えっと、柚子だよ...?」
「柚子っちスか〜、イイ名前っスね!」
「きゅ急にどうしたの?」
折角黄瀬君から話しかけてくれたのに、拍子抜けで、大好きな黄瀬君の声もちゃんと聞けない。
「ん〜気になっただけっスよ〜」
シャラ☆って効果音が付きそうな程の笑顔に、ドキドキが止まらない...。
「じゃあ、スキなものはなんスか〜?」
「え?」
急にどうしたの、黄瀬君!?
なんか変なものでも食べた!?
昨日から黄瀬君、どうしちゃったんだろう...。
「......バスケだけど...」
「そうなんスか!?オレのことがスキだからスか!?」
「いや...黄瀬君に会う前からだけど...」
え? なんか怖いんだけど...。
そうスか...ってシュンってなってるし...。
ホント、どうしちゃったの、黄瀬君!?