第1章 コワレル
午前中の授業が終わって、チャイムが鳴った途端にも...
「柚子っち!!昼、一緒に食べねっスか!?」
って...。ヤバイ...ホント、怖い...。
夢オチってないよねっ!?
「わー、柚子っちの弁当、美味そうっスね〜!」
本当、朝から戸惑いが...。
今だって、大きなチワワが食べたそうに、私のお弁当を見てる...。
「黄瀬君、た、食べる...?」
「ホント!?いいんスか!?ヤッター!!」
ワンコ.........。
「アーン。玉子焼き食いてーっス!」
え...アーンって...。
あの『アーン』だよね...?
黄瀬君が口を開けて無防備にして待ってる...。
玉子焼きを箸で掴んで、黄瀬君の口元へ持っていく。
「あ、あ〜ん...」
「アー、ン」
パクッて...。
え?誰?ホント、この人、誰っ!?
こんな黄瀬君知らない。
......いや、知ってるけど...、私にこんな風に接する黄瀬君なんて、知らない。
どっかのネジ取れちゃったのかな?
......そんな失礼なことしか思い浮かばない。
「ねぇ、誰...?黄瀬君?」
あ、聞いちゃった。
あまりにも非日常過ぎて...。
「え?そうっスよ?黄瀬涼太っスよ?どうしたんスか、柚子っち」
キョトンとして、小首を傾げる黄瀬君。
いつもの黄瀬君じゃないよ.........。