第1章 コワレル
「お前が、色恋沙汰で悩んでるとはな」
「いっいやいや、違うんスよ!?センパイ!」
全然違うくないんスけどね...。
花村っち、もうボロボロのクセに、オレと別れようともしない...。
きっと別れたら、わかると思うんスけどね。
......もし別れて、嫌とか思ったら、もうカンペキっスのに...。
「んで、誰を好きだって?」
いや、センパイ、今違うって言ったじゃないスか。
「そういえば、お前、彼女いたよな?そいつのことで悩んでんのか?」
もうハクジョウするっスよ...。
今、オレが思ってることを全部話した。
花村っちとの関係のことも...。
「そりゃあ、お前。好きだろ、そいつのこと」
やっぱ答えがソレっスか。
女の子、苦手なクセにっ! もうセンパイはっ!!
「そうっスよね〜、やっぱ、そうなるっスよね〜...。もう、自分のことなのに、オレ、わかんねぇス......」
スキじゃないハズなのに、気が付くと花村っちのことばっかり考えてて...
笑顔が見たいとか、泣いてる顔が見たいとか、花村っちのこと見かけると、胸が高鳴って...目で追って......ってもう、スキなんじゃねぇスか!?
なんで今まで、気付かなかったんスか、オレ!!
今までオレ、誰かを本気でスキになることなんてなかったから...いざ、伝えるとなると、やっぱキツいっス...。
そういえば、オレ、花村っちの想い踏みにじったんスね...。
それなのに、今更、スキとか、花村っちも迷惑っスよね...。
花村っち、名前なんていうのかな?
......1年も付き合ってんのに、オレ、下の名前も、スキなものも...何も知らない...。
それだけ、花村っちのこと見てなかったってことっスね...。
彼女ヅラって...彼氏ヅラしてんのは、どっちだって...。
これからは花村っちのこと、ちゃんと見てよう...。
折角花村っちと付き合えてんスから、オレ。