第5章 マネージャー
「あなたたち、盛り上がってるところ悪いけど、そろそろやめてもらっていいかしら?」
「あ」
「っ!?」
ヤバい!!完全に忘れてた!
涼太君のお母さん、誠に申し訳御座いません......。
「えっと...涼太君のお母さん、申し訳御座いません!お見苦しいところをお見せしました!」
「いいえ、いいのよ。仲直り出来たんなら、よかったわ。...涼太、柚子さんのこと、本当に愛しているのなら、よそ見なんかしちゃダメよ。その手に、離れない様に、ギュッと握り締めておきなさい」
涼太君のお母さんは、私に柔らかい笑顔を向けてくれたあと、涼太君の方を向き、力強い声でそう言った。
「わかってる。柚子は絶対離さない。初めてだから...初めて、本気になれたヒトだから...」
お母さんにそう返した涼太君の力強い瞳に、吸い込まれてしまいそうで...ドキドキしすぎて...胸が痛い。
「柚子!スキっス!」
私の方を見て、満面の笑みでそう言った彼の、キラキラの黄の髪が、琥珀色の瞳が、白い歯が、アナタの...全てが、眩しかった。
...大好き。
改めて、そう思い知らされる。
「私も涼太君が好き!」
彼のお母さんの前で、そう言い合えるのが、何故か、嬉しくて堪らなかった。
普通だったら、ヤなハズなのに......。
「ふふ...将来、柚子さんと家族になれそうね」
お母さんのその言葉を聞いて、2人して真っ赤になって俯いた。
認められたみたいで...応援してくれてるみたいで、嬉しかったから......。
正直、そういう未来を想像したことがなかったわけじゃないから.........。
アナタが目の前にいるから、いつもより、嬉しくて、恥ずかしかった...。