第1章 コワレル
今、何したの...?
手よりも柔らかいものが、頭に軽く触れて...
......え?
......キス...じゃないよね...?
バッ!!
「わっ!?」
キス...って思い浮かんだ時には、布団を勢いよく剥いでいた。
黄瀬君を驚かせちゃった。
「...今、何、して...」
「起きてたんスか?...寝たフリとか、もう、悪い子っスね!」
泣きたくないのに、勝手に涙が出てくる。
黄瀬君の前で泣いたことないのに...。
「え...?なんで...どうして...?」
私のこと好きじゃない黄瀬君がどうしてあんなこと...?
もう状況が理由わからなくなって、混乱してる。
「花村っち、オレが何しても、何も言わないじゃないスか。辛そうにしてるのはわかってんのに...ん〜オレにもわかんねっス!情っス...きっと情でも湧いたんスっ!!」
そう言って、黄瀬君は、顔を真っ赤にして、そっぽを向いた。
今までの黄瀬君じゃ、考えられなくて、笑っちゃう。
「なんの情...?」
恐る恐る聞いてみる。
「ソレ聞くっスか!?なっ内緒っス!内緒っスよ!?」
「ふふふ...わかった」
私のほっぺに触れて
「ホント、なんの情っスかね〜」
そう言いながら、顔を近づけてくる。
.........あと.........3cm......。
ブーッブーッ...。
急に携帯のバイブ音がした。
「わわわっ!?......残念ス。また明日。部活行ってくるっス!」
触れた手も近づけた顔もすぐ離して、携帯のディスプレイを確認した。
「頑張って...!」
その言葉に黄瀬君は、ニコッと笑って、出ていった。
その"残念"はキス出来なかったことに対して...?
それとも......私を哀れんで...?