第5章 マネージャー
好き。
その想いだけが、彼のキスに込められてる気がした。
涼太君の想いが、その唇から私の髪へ、脳へ、胸へ、そして...心まで、染み込んでくるような...そんな感覚が温かく伝わる。
涼太君...私、結構、キスの意味わかるんだよ?
言葉じゃ足りないくらいの想いを、伝えたくて、調べたんだ。
...だから、私の想いもキスに込めるよ。
そっと頭を彼の首へ埋め、軽く吸った。
「伝わったかな?...私の気持ちも...」
自分で付けた紅い跡を見つめ、少し後悔した。
彼はすごくモテる。
それに、モデルだ。
仕事の方も大変になる。
濃くは付けてないから、すぐ消えると思うけど...。
でも、消えて欲しくないとも思う。
それでも...なにより、コレは...束縛の徴だ。
束縛が嫌いな彼に、束縛するなんて、きっと嫌われてしまう。
「そんなにオレのことスキなの?いくらオレでも、そんなことされたら、テレちゃうっスよ」
「やっぱり、涼太君、あの...髪の毛のキス...意味、わかってて...」
きっと、私のキスの意味は伝わったのかもしれない。
"アナタに強く惹かれ、忘れられない程、アナタを想っています"
忘れられるハズなんてない。
例え、アナタが私から離れていってしまっても、きっとずっと愛してる。