第5章 マネージャー

「ねぇ、オレに何して欲しい？何したら、信じてくれる？」


彼女に信じてもらえるんなら、何だってする。


「なんでもするから...何して欲しい？何か欲しい？」


柚子...答えて...お願い...。


.........。

沈黙が続く。

ソレを破ったのは、彼女だった。


「わかんない...何して欲しいか、何が欲しいかなんて...わかんないよ...。ただ...涼太君の傍にいたい...ソレだけ...」


眉を下げて、オレの目を必死に見つめて、そう言った柚子が、可愛過ぎて、愛し過ぎて...オレの頭の中を...心の中を...全て見せてしまえたら......。


「ずっとずっと、傍にいるから...そしたらいつか、信じてくれるっスか？」


潤んだ目で見つめられると、こんな状況なのに、オレの目は、扇情的に捉えてしまう。

...抑えろ、オレ。


「......涼太君のことはちゃんと信じてるよ。ただ...自信がないだけ...。こんな、こんな私が、涼太君に釣り合うハズなんてないっ...！うっ...くっ」


目に沢山貯めていた涙は、大粒の雫となって、ぽろぽろとこぼれ落ちていく。


洩れそうになる声を必死に抑えて、オレの目を見つめる彼女の目は、不安、一色だ。

オレは、そんな彼女を安心させる様に、オレの気持ちが伝わる様に、優しく抱き締めた。

そして、ありったけのオレの気持ちを込めて、彼女の柔らかい髪にキスを落とす。


髪の毛へのキスは、恋しく思うこと。

彼女がこのことを知ってるかわからないけど、それでも伝わると信じた。