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【黒子のバスケ:黄瀬涼太】愛の言ノ葉

第4章 インターハイ


「そういえば、笠松センパイは...」


「ん...ああ。先行ってろとさ」


「オレ様子見てくるっスよ」


「あーいいから。やめとけ」


「......!」


『それでもIHで優勝する。それがオレのけじめで、主将としての存在意義だ』


そうだ...今は...戻っちゃだめだ。

そんなヒマあったら、進め...

一歩でも前へ。


歯を食いしばった。


『借りは冬返せ』


センパイ...ちゃんと、冬返すっスからっ...。

エースとして...

センパイを...

チームを勝たせる。

それが...エースであるオレの役目。

センパイに優勝トロフィー持たせるっスから。


「黄瀬君っ...」


「...!...柚子っち...」


会場を出たところで、愛しい人がオレの名前を呼ぶ声が聞こえた。


彼女のその、優しい微笑みを見て、すっと軽くなっていく背中。


この人の前でだけ見せられる自分。

その優しい微笑みに見せられる弱さ。

かっこ悪いと思いつつ、見せてしまう弱さ。

...きっと、見せられてしまうのは、彼女が全てを優しく包み込んでくれるとわかってるから。


「柚子っち...オレ...オレっ...!くっ」


今まで何度、柚子っちに泣き顔、見られたかな。

...女の子である彼女の泣き顔は、数えられる程しか見たことないのに......。

ズルいっスよ、柚子っち。


いつ、彼女に愛想つかされるか、正直、不安。


モデルやって、キセキの世代とか言われて、いつも自信満々だった。

女の子を傷付けて別れても、思ってたのと違うと言われ別れても、言い寄ってくる女共は余る程いる。

だからずっと、ソレを繰り返してた。


...でも柚子っちだけは...どこにも行って欲しくない。

傷付けたくない。

一緒にいて欲しい。


最近、思い始めたことだけど、彼女はオレの全てを受け入れてくれた。

だから...だから、これからもずっと、大切にしたい。

...そう思えるのは、彼女だけだから。





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