第4章 インターハイ
第4Qが始まった。
...8点差。大丈夫、逆転出来る。
4ファウルであのプレイ...。
やっぱりすごい、青峰君。
でも...黄瀬君だって...。
「黄瀬君...頑張ってっ...!」
黄瀬君と青峰君は、およそ9分間、1本も落とさず、交互に点を獲り続けた。
きっと精神的にすごく辛いハズ...。
特にウチは追う側。
8点差と10点差を繰り返して、差は縮まらない。
時間だけがどんどん進んでいく。
それでも皆信じてる。
エースの力を...。
自分達の力を...。
絶対に諦めない強い心を持ってる。
中の選手が信じてるなら...諦めてないなら...応援してる私達も、諦めちゃダメだ。
桐皇のSGのミスで均衡が崩れた。
きっとこれが両エース、最後の一騎打ち。
「黄瀬君ーっ!!」
黄瀬君が跳んだと同時に、彼の名前を呼んだ。
...私の思いが届く様に。
彼のシュートに青峰君が間に合い、黄瀬君が笠松先輩にパスを出した。
でも...そのパスも、青峰君の左手により止められた。
唯一のチャンスだった。
黄瀬君がパスを選んだことは、決して間違いじゃない。
でも...でもっ...もう、この試合は......。
きっと彼も今、同じことを思ったのかもしれない。
......その瞬間、笠松先輩が彼の頭を後ろから掴んだ。
黄瀬君の顔つきが変わった。
...流石主将、頼りになる。
そう、まだだ...まだ試合は終わってないっ...!
選手達は、まだ諦めてない。
「海常ーっ!!海常、頑張れー!!」
声が枯れてしまう程、必死に応援する。
...少しでもあのすごい選手達の力に。
最後、必死に黄瀬君は、青峰君に抵抗したけど、ボールはゴールに押し込まれた。
その瞬間、試合終了の声が会場に響いた。
試合は98対110で桐皇の勝利。
立てなくなった黄瀬君は、笠松先輩に支えられ、整列した。
沢山の汗と涙を流して...。
「全国ベスト8だろう、胸張って帰るぞ」
会場中が拍手で包まれるなか、笠松先輩のそんな声が聞こえた。
会場をあとにする選手達は、とても清々しく、全てを出し切った顔をしていて、皆とてもかっこよかった。