第4章 インターハイ
「青峰っちとオレ...勝つとしたら、どっちだと思うっスか?」
興味本位で聞いてみた。
黒子っちはオレ達のことをよく知ってると思う。
「...わかりません」
「えー...」
「ただ勝負は諦めなければ、何が起きるかわからないし、2人とも諦めることはないと思います。...だから、どちらが勝ってもおかしくないと思います」
確かに、そうかもしんないっスね。
「...ふーん。じゃあ、せいぜい頑張るっスわ」
「......」
黒子っち、なんか言いたそうっスね...。
「なんスか?」
「いえ、てっきり...「絶対勝つっス」とか言うと思ってました」
「なんスか、それ!?」
「...そりゃもちろん、そのつもりなんスけど...正直自分でもわかんないス。中学の時は勝つ試合が当たり前だったけど...」
なんとなくわかることはある。
それが大事なんだってこと...今ならわかる。
「勝てるかどうかわからない今の方が、気持ちイイんス」
全力でバスケに打ち込める。
バスケが楽しくて、しょうがない。
黒子っちがいなくなって、陰にいるコに話しかけた。
「柚子っち、出てきていいっスよ?」
ずっと陰に隠れてた柚子っちが、そっと出てきた。
「気付いてたんだね...盗み聞きして、ごめんね...」
「ん?別にいいっスよ、柚子っちっスから」
「なんとなく外に出て歩いてたら、黒子君と話してる黄瀬君を見つけて...一言、言いたくて...。ちゃんと応援してるから、頑張ってね。黄瀬君のことも...皆のことも信じてる」
「うん、ありがと。柚子っち...愛してる」
そう言って、柚子っちの小さな身体を抱き締めて、頬にチュッと口付けた。
それだけで真っ赤になる彼女は、すげー可愛い。
「この試合勝ったら、ご褒美に、ココにさせて?」
親指でそっと彼女の下唇をなぞる。
柚子っちは、俯きがちに頷いた。