第4章 インターハイ
第1Qはウチがリードで終わった。
やっぱり青峰っちは、速さも技術もハンパねー。
...それでも、コレを......。
「海常高校、タイムアウトです」
こりゃあ...いよいよ覚悟決めなきゃマズいっスね...。
「監督...試合前に言ってたアレ、やっぱやらして欲しいっス」
オレが青峰っちに抜かれた時、センパイがファウルもらいに行ってくれた。
やっぱ、イイなぁ...このチーム...。
「けどヒヤヒヤもんだ...出来るのか...!?」
「出来るか出来ないかじゃねぇ!やるんだよ!ウチのエースを信じろ!」
センパイ...。
エースのオレがこのチームを勝たせなきゃ...。
ここがオレの分岐点だ...
見ててくださいっス、柚子っち。
青峰っちのDFに跳んだけど、シュートは入った。
あークソッ...やっぱメチャクチャ...カッケーなぁ...。
人にはマネ出来ない、唯一絶対のスタイル。
この人に憧れて、オレはバスケを始めたんだ。
普通のプレイは見ればすぐに出来るのに、この人のは何度やっても出来なかった。
けど、わかってたんだ本当は。
何故出来ないか。
憧れてしまえば、超えられない。
勝ちたいと願いつつ心の底では、負けて欲しくないと願うから。
「憧れるのはもう...やめる」
皆を...自分を...信じるんだ。
桐皇の主将がブザービーターを決めて、第2Qが終わった。
10分間のインターバル。
ヘタしたら、第4Qまでかかるかもしんない...。
第3Qまるまるオレは、ほぼ何も出来ない。
センパイ達はきっと凌いでくれる。
皆を信じてる。
センパイ達がオレを信じてくれてる様に。
表出て、風を浴びることにした。
「黄瀬君。...どうも」
「黒子っち!!?なんでここに!?」
「はぐれました」
「は!?」
昨日まで、近くで合宿だったみたいで、
応援しに来てくれたんじゃないかって聞いたら、はっきり「違います」て言われたっス...。
ヒドいっス...。