第4章 インターハイ
「私、黄瀬君の言葉に救われたの...」
「うわぁ〜!!」
いきなりの大声で、すんごいびっくり...。
「サイアクっス!!今、思い出したっス!何で忘れてたんスか、オレ〜!!...柚子っちは最初からオレの中身を見ててくれたんスね!?」
なんか落ち込んでる、黄瀬君。
「いや、それよりも...」
「?...っ!?」
急に真剣なムードになって、ギュッて、力強く抱き締められた。
あったかい...。
「あの日の言葉...嘘じゃねぇスから。オレの前では、思いっきり泣いて...思いっきり笑って...自分の思うままに......。オレがその、葵クンの代わりにはなれないっスけど...いや、全然違う存在かもしんないスけど...その寂しさをオレで埋めれるんなら...」
その言葉が嬉しかった。
アナタはいつもあったかいね...。
私いつも、黄瀬君に救われてばっかり...
私もいつか黄瀬君が辛くなったら、アナタを支えられるかな...?
「ありがとう、黄瀬君」
私も黄瀬君をギュッと抱き締めて、彼の制服を涙で濡らした。
私、抱き締められるの、好き。
すごく安心する。
...黄瀬君だからかな?
そっと顔を上げられ、私の涙を舐めとった。
「んっ」
私の目を見つめて、微笑んだ黄瀬君の瞳は、すごくキレイだ。
彼の琥珀色の瞳に見つめられて、私の顔は、火が出そうな程熱い。
「ホント柚子っち、可愛いっスね〜。真っ赤っスよ?」
「だっ、だって...黄瀬君が見つめるから...」
「それだけでっスか?可愛いっスね〜」
前髪を上げられ、額にキスされる。
...もう、黄瀬君ホント、女の子の扱い慣れすぎだよ...。
黄瀬君の肩口に頭を預け、熱い顔を見られないようにした。