第3章 コワイ(過去編)
中2の秋、7歳の弟が死んだ。
彼は、9年前の夏、生まれた。
その向日葵みたいな笑顔の温かさから、『葵』とつけられた。
7歳離れた弟は、可愛くて可愛くてしょうがなかった。
小学生だった私もいつしか中学生になり、彼も小学生になった。
私は中学校に入った時から部活をやるようになり、また小学生になった彼も友達といる時間が増え、彼といる時間は減った。
帝光中のバスケ部のマネージャーということもあり、余計忙しく感じた。
葵と一緒にいれる時間が減り、寂しくなった私は、学校も部活も休みの日、2人で遊びに行こうと誘った。
この時、誘ったのが間違いだったのかもしれない。
「おねぇちゃん早く〜、行くよー!!」
「あ、待ってよ葵!」
中学生になり、オシャレに目覚めた私は、葵を待たせている。
私と葵の2人は、隣町の遊園地に行くことにした。
「わぁ!おねぇちゃん、あれ乗ろう!」
「待って...!」
中学生が小学生に負ける。
...小学生ってホント元気いいなぁ...。
やっぱ葵好きだなぁ。
私はきっと重度のブラコンだろう。
周りが男子に色気付いているなか、私は弟に夢中...。
「ふふふ...!」
「もっとハデなのないのかなぁ...」
葵の身長で乗れるジェットコースターが物足りないのか、不貞腐れている。
その様子が可愛くて、私は笑っていた。
やっぱ、葵と一緒にいると、すごく楽しいなぁ。
最近、あんまり一緒にいれなかったから、余計なのかな...?
また遊べるといいな。