第2章 モドル
彼女の涙を流す姿を見るのは、何度目だろうか。数える程しかない。
傷付いて泣いているのに、彼女はキレーだ。
他のことを考えさせよう。
...キレーだけど、傷付いて泣いている姿は見たくない。
「ねぇ、柚子っち。オレのスキなとこって、どこっスか?」
「え?...どうしたの?急に...」
「いいから、教えて?」
まぁ、正直、気になるとこ。
カモフラージュとして付き合ったコだから、興味はなかった。
だからなんでオレのことスキかなんて、全然考えなかった。
どうせ、モデルだからとか、キセキの世代だからとかだって思ってた。
オレの中身なんて、どうせ、どうでもいいんだろうって思ってた。
でももし、柚子っちがそんなコだったら、柚子っちはすぐに別れを選んでただろう。
でも、柚子っち、どれだけボロボロになっても、完全に壊れてしまうまで、オレといることを何より、望んでた。
だから、そんな柚子っちがスキでスキでしょうがない。
お願い柚子っち、顔とか言わないでよ?
散々酷いことしてきたから、顔だったらすぐ別れてたかな。
「私、弟がいたの...」
そう話し始めた柚子っちの目は、恐怖の色に染まっていた。