第1章 コワレル
「ハァ...。なんでオレ、アノ子にだけは優しくできねぇんスかね...」
自分で告白、オッケーしたのに、彼女ヅラすんな、か...。
オレは彼氏なのに、花村っちの無邪気に笑う顔も泣き顔も見たことない。
いつも見るのは、無理に笑う顔と必死に涙を堪える辛そうな顔だけ...。
彼氏のオレは、そんな顔しかさせられない。
好きでもないのに、なんでそんな風に思うんスかね...。
「黄瀬君...」
「...黒子っち」
ステーキ屋の前を通りかかったら、ちょうどそこから、黒子っちが出てきた。
「...ちょうどよかった。ちょっと...話さねぇスか...黒子っち」
「......?」
ストバスのコートがある公園に来た。
「黒子っちにフラれ、試合も負けて、高校生活いきなり、ふんだりけったりスわ〜」
それに、花村っちも......。
「ダメ元でも、一応マジだったんスよー!?」
ベンチの背もたれに座って、足を伸ばして、頭の上にあるボールが落ちない様にバランスをとる。
「ひっくり返りますよ......すいません」
「......冗談スよっ」
それから少し、話した。
「黒子っちとアイツは...いつか...決別するっスよ」
そしたら、いつの間にか、火神の話になって...。
「いつか必ず..."キセキの世代"と同格に成長して、チームから浮いた存在になる。その時アイツは...今と変わらないでいられるんスかね?」