第2章 モドル
黄瀬君の腕の中は、とても温かくて、気持ち良くて安心する。
すぐ近くで聞こえる黄瀬君の胸の鼓動も、私を落ちつかせてくれる。
「黄瀬君がカッコよくなかったらよかったのに。そしたら、私以外、誰も見向きもしない。私だけ黄瀬君を愛せるのに...」
「なんスか、それ...。それ言うなら、柚子っちこそっスよ?めっちゃカワイースもん」
口を膨らませて、拗ねている様な姿は、可愛過ぎて...そのキラキラ光る黄色い髪の隙間に指を入れて、そっと撫でた。
このキレイな髪も、長い睫毛も、琥珀色の瞳も、筋の通った鼻も、弧を描く唇も、鍛えて整ったキレイな身体も...全部、全部私のものだったらいいのに.........。
もういい...。
好きって伝えよう。
黄瀬君は伝えてくれたんだ。
例え、拒絶されてもいい...。
私の想いを、正直に伝えたい...!
まだ少し拗ねている黄瀬君の瞳をそっと見つめた。
「...?」
私が急に黄瀬君を見つめたことが、不思議と思ったのか、小首を傾げて、黄瀬君は私の瞳を見つめ返してくれた。
「黄瀬君、もう...わかってるかもしれないけど...私、アナタが好き...!初めて会った時から、きっと、アナタに惹かれてたのかもしれない...。いつの間にか私...アナタを愛し始めてた。拒絶してくれても構わない...私はもう汚れてるから。でも、この想いだけは伝えたくて.........」
「やめて。もう、そんなこと言わないで欲しっス。柚子っちは汚れてなんかない!...オレよりもずっとずっと、キレーなんスよ、柚子っちは。......てか、スキって言われたあとに、汚れてるとか言われたくねぇス...」
そんなこと言われると嬉しいけど、私は、汚れてるんだ。
「柚子っち、オレとキスできるっスか?オレはできるっスよ、柚子っちと。できるってか、したいっス。てかオレ、今日、誕生日なんスよね...誕生日プレゼント、くれねっスか...?」
そう言いながら、顔を近づけてくる。
...黄瀬君は、何か喋りながらキスしようとするのが、クセなのかな...?
最近色々あって、黄瀬君の誕生日忘れてた...。
プレゼント、用意してないや...ごめんなさい。