第2章 モドル
黄瀬君が私を好きだと言ってくれた。
もう、それだけで充分、幸せだよ。
...黄瀬君の顔を見ればわかる、本気だって...。
どんなに足掻いても、藻掻いても、掴めない幸せだってある。
...そう、黄瀬君との未来だって。
「ねぇ、柚子っち。1つだけ...1つだけ教えて欲しいっス.........汚れちゃったって、どういう意味スか...?」
もう、わかってるクセに...。
「私はもう、アナタに、初めてを捧げられない」
そう言い残して、保健室を出た。
保健室を離れようとした時、黄瀬君の泣き声の様な声が聞こえた気がした。
黄瀬君、今まで、本当に、ありがとう。
アナタの傍にいれることがどんなに幸せだったか...。
でも、もう、私は汚れてしまった。
黄瀬君の傍にいれる様なキレイな女じゃない。例え、偽りの関係だったとしても、もう、傍にいることは出来ない。
本気で好きになってくれたことが、すごく嬉しかった。
アナタはとてもキレイな人。
誰かもわからない人の精液を浴びた私は、似合わない。
...幸せになってね。
黄瀬君、優しいアナタのお陰で、壊れ続ける心の崩壊は止まった。
逆再生の様にゆっくりと、心のカケラが形を取り戻していく。
大切な、大切なアナタとの思い出と一緒に...。
教室につき、机にとっぷして眠る。
...嫌な思い出が消える様に...。
大切な思い出が輝く様に...。
温かい朝日が、私を包み込んだ。