第1章 コワレル
...............そっか、からかってるんだね。弄んでるんだね。
私の想いを利用して、楽しんでるんでしょ。
ねぇ、黄瀬君。
まさか、黄瀬君がそこまでするとは思わなかった。
壊れていた心が、軋みをあげて崩れ、壊れていく。
もう、涙すら出て来なかった。
「ねぇ、そんなに楽しい?私をからかうのが...」
「え...何、言ってんスか?柚子っち...」
とぼけなくて、いいよ、もう。
疲れた...。
浮気を見て見ぬフリするのも。
酷いことを言われて耐え続けるのも。
......君の笑顔を見て、幸せな気分に浸るのも。
.........偽りの関係を続けるのも。
「別れよう。ばいばい」
そう言って私は、お弁当を片付けて、家に帰った。
このまま午後の授業を受け続けるのは、心がもたなかった。
私が何したっていうの?
......黄瀬君を好きになっちゃいけなかったの?
だから好きになった罰?
私が勘違いして笑ってるのが、とても楽しかったのでしょう?...黄瀬君。
壊れた心は、簡単には戻らない。
次は誰が犠牲になるの?
黄瀬君の偽りの彼女になるの?
壊れた心は、別れたことに対してなんの感情も示さない。
...でも嫌いになれないのは、何故?
私は君の迷宮に落ちていく。
これからもずっと......。