【R18 ハイキュー!!】幼なじみ 及川徹との場合
第1章 近すぎて遠い存在
「はぁ? 全然違うし。つか、おまえなんにもわかってないよ、あのマネの良さを」
知るわけないじゃん。
大体しっかり見たこともないし。
「じゃあ、そのマネージャーの人と付き合えばいいでしょ!」
「それが出来れば苦労はしないって」
冗談? 本気?
徹はどこまで本気で言ってるか、さっぱりわからない。
「結構ガード硬いんだよねぇ、あの子」
「単に相手にされてないだけでしょ」
「いや、絶対俺の事誤解してるんと思う、あの子」
「正当に評価してる結果なんじゃないの?」
「いやいや、付き合ってみなきゃわからないことって、あるじゃん」
「………」
「現に、幼なじみのおまえだって、俺のこと100%知ってるわけじゃないんだし」
「それは、そうだけど……」
徹の門戸は結構広い。
広くて……でも、浅い……気がする。
ワザと、浅くしか知られないようにしてるような。
本心を知られたくない、みたいな。
「……でも徹、どうせすぐ別れるじゃん、付き合ったって」
「あのマネちゃんなら長続きしそうな予感するんだけど、俺」
まんざらでもなさそうな笑みにちょっとドキっとした。
もしかして、結構本気でそう思ってる?
「……だって、別に今まで付き合ってきた子たちのこと、ホントに好きじゃなかったでしょ」
「なに、その失礼な言いぐさ」
「だって、結局すぐ別れるじゃん」
中学時代の平均は5か月。
高校に入ってからはもっと短くなった。
彼女の後釜は沢山いて、徹に彼女がいなかったことなんてない。
いつも告白されて、付き合って、そのうちに別れてる。
でも徹が本気になってるの、見たことない。
一途になってる姿、見たことない。
なんて、私の楽観……いつか自分がって勝手に思ってるゆえの、希望的推測、かもしれないけど……
「徹って、理想が高いし、それを崩さないから」
「崩してOKな目標設定なんて目標じゃないだろ。打倒白鳥沢! これ崩したら意味ないし」
「バレーと一緒にしないでよ」
徹は小さい頃から無条件にモテた。
何をやってもモテた。
だから何をやっても目立った。
『及川さんちの徹くん』
お姉さんも、お母さんも、近所で評判の綺麗な人。
徹も子供の頃から美形でカッコいい。
だから、徹も自分がカッコいいって自覚してる。
……やなヤツ。