第7章 慟哭の夜に
事務所が手を回してくれたお陰で、
ワイドショーなどで、
騒がれることはなかった。
『なんの根拠もないこと』
その記事がガセであったことは、
直ぐに分かることだ。
それなのに、
『根も葉もないこと』
を面白おかしく記事にする、
そんな卑劣な仕事をする輩に、
腸が煮えくり返る思いだったが、
ここで、俺たちが、
つまらないアクションを起こすことは、
奴等の思う壺...。
俺たちは...
智くんは...
じっと耐えた。
アンチたちが、
ここぞとばかりに面白おかしく、
騒いでいるのも知っていたが、
飽きて、忘れてくれるのを、
じっと待つしかない....。
俺たちは、
怖い世界で生かされているんだと、
今回の事は、
俺たちにとっても、
苦い経験と教訓として、
胸に刻まれた。
そして、
智くんは。
あの夜からずっと、
俺のマンションから仕事に行っていた。
嵐の仕事のときは、一緒に家を出て、
ひとりの仕事のときは、
ここから、
お互いを見送った。
彼の傷が癒えるまで....。
智くんが本当に心から笑えるようになるまで、
俺はいつまでだって、
彼と居ようと、
そう決めていた。