第7章 慟哭の夜に
その夜。
俺のマンションに帰りつき、
部屋に入ると、
俺は出来るだけ静かに彼に声を掛けた。
「智くん、着替え出すから、
今日はもう、風呂入って、休みなよ..」
「.......」
「智くん...」
すると。
「...ぅぅぅ...」
部屋に低く響く彼の嗚咽。
必死に絶えて、震える肩を、
俺は思わず抱き強く締めた。
「大丈夫だから...
...泣くなよ...」
その言葉に。
ますます火が着いたように泣く彼の背中を、
俺はただ、きつく抱き締めるしかできなかった。
絞り出すように、
「...ごめん..迷惑...かけて..」
消え入るようにそう言った智くんに、
「迷惑なんて言うなよ。
他のメンバーも、心配してるよ。
大丈夫だって...だから、もう
泣くなよ...」
彼のあまりの憔悴振りに、
彼の背中を、
何度も撫でてやるくらいしか出来ず、
そんな無力な自分が、
腹立たしかった。
その晩は、
ベッドで智くんを抱き締めて眠った。
彼をベッドに寝かせて、
自分はソファーで寝るつもりだったが、
「...ひとりにしないで....」
そう腕を掴まれて、
断る理由もない。
彼から寝息が聞こえるまで、
静かに、その髪を、何度でも、
繰り返し鋤いていた。