第7章 慟哭の夜に
事務所に着くと、直ぐに社長室に通された。
部屋に入ると、
事務所の上の方の人と、
ソファーに背中を丸めて座る智くんがいた。
「失礼します」
俺が入って来たのが分かると、
弾かれたようにソファーから立ち上がった智くんが、
俺に向かって 走ってきて、
「翔ちゃん!俺、やってないよ!
あんなの、違うんだよ!
俺...あんなこと...」
彼の、
初めて見る取り乱し方は、
尋常ではなく、
俺はただ、彼の震える背中を、
抱き留めてやるしかできなかった。
週刊紙に出るのは、
少し前に撮られた、ブライベートな写真が数枚。
ゲラ刷りを見せてもらった俺の目に飛び込んできたのは、
その驚くべきタイトル。
『嵐の大野智 大麻で3P』
震える手で、記事をざっと読むと、
知り合いの女の子ふたりと、
大麻を吸って、ことに及んだ、
という内容。
写真は、女の子ふたりの腰に手を回す智くんと、
寄り添って変顔をする写真。
その写真が、大麻吸引をして、
ラリってる、というもの。
言葉を失う俺に、
床に崩れ落ちて号泣する智くん....。
俺は懸命に、
彼に、掛けるべき言葉を探しながら、
泣き崩れる彼を見ているしか出来なかった。