第6章 運命の深い渦
その旅館は、各部屋の間に、
中庭的な広い空間があり、
植木などが、手入れされていた。
ペライベート感は抜群で、
部屋の露天風呂からは、
前を流れる谷川の緑が目に眩しかった。
「わ~!すごいね!翔ちゃん。
お風呂入ろうよ!」
…おい!まだ、番頭さんいるから////
っていうか、別に風呂入るくらい、おかしくないか…
意識しすぎている自分に、俺は耳まで赤くなった。
7時の夕飯までには、少し時間がある。
疲れたし、
少し休もうかな…
そう思って、ベッドにダイブすると…
俺の後を追うように寝転がり、
後ろから抱き着いてくる人が…
もちろん、さっきまで車で寝ていて元気なあの人…
「ねぇ…翔ちゃん。お風呂💚入る?」
ほらね…
食欲満たされ、睡眠も足りてる…
となれば、そっちでしょ…
…君はいいでしょうけど、
俺、寝てないからね…
とりあえずは、無視して目を閉じてみる。
すると彼は、
俺のシャツからそっと両手を入れ、
背中を撫ではじめた。
ソフトなそのタッチに、
思わず全身が総毛立つ。
「ちょっ…やめろって…」
「やあ、運転疲れただろうなって思ってさ、
感謝の意味も込めて、
マッサージを…」