第32章 turning point~転機~
……熱いシャワーが頭から落ちてくる。
心臓がドクンドクンと脈打つのは、お酒のせいじゃない…
思わず握った両拳を、胸の前で重ね合わせた。
………あんな翔ちゃん…久々に見た…
あんな、荒々しい…
感情を剥き出しにした…
いつも冷静で、優しくて、
なんだか……
翔ちゃんじゃないみたいだった。
それでも、
彼の激しい口づけに、俺の中心はゆるゆると勃ち上がっている。
「……ドキドキ…した」
口に出してみると、何だか恥ずかしくて、耳が熱くなった。
ホントはあのまま…
あの場所で、彼を受け入れたかった…
おかしくなるくらいに、突き上げて欲しかった…だけど…
いつもはそうじゃない人が荒々しく求めてくると、
いつもはそうでもない俺の方が、冷静になってしまう。
ガシガシと頭を洗い、泡立てたせっけんで後ろを洗う…
指を入れただけで、そこはもう期待していて、
自分の指を絡め上げて、締めつけた…
「…ああぁぁ…しょうちゃん…」
ここに……あの人の、熱い滾りを…
そう思っただけで、熱くなる身体の芯を抑えられなくなる。
……早く抱いて欲しい…
何も考えられなくなるくらいに、滅茶苦茶にして欲しい…
「……お待たせ…」
バスローブを着てリビングに行くと、翔ちゃんはテレビも付けずにソファーに座っていて…
俺が入っていくと、まだ長めの煙草を揉み消して、
「…俺も、シャワーして来るわ…」
そう言って、リビングを出ていった。