第32章 turning point~転機~
靴を脱ぐのにもたつきながらも、翔ちゃんの手が、俺のシャツに下に入り込んでくる。
「あっ///」
迷うことなくつままれた粒への不意の刺激に、全身総毛だった。
普段は不器用なくせに、こんな時の彼は淀みない。
湿った水音を立て乍ら、翔ちゃんの指は器用にボタンを弾き、俺の肩からシャツを滑らせた。
さっと肌を包む冷んやりとした空気が、俺の期待感を膨らませた…けど…
ここは玄関で、いくらフロアにはこの部屋だけだから、人に聞かれる心配はないとはいえ、やっぱり恥ずかしい。
「…んぁ…翔ちゃん…あの…んん///ここじゃ、い、やだよ///」
「俺は…嫌じゃ、ない…」
ベルトを外してボタンを外すと、下着の中に手を滑らせて来た。
「やっ///シャ、シャワー…させて…」
「いいよ…俺は…」
…でも、汗もかいたし…それに…
差し込まれた翔ちゃんの指が、そのまま双丘の間をなぞり、その奥へと辿り着いてしまう…
「ダメッ…お願い…翔ちゃん…シャワー…」
もう既に力の入らない腕で、なんとか彼の身体を押し離すと、翔ちゃんは俺を見つめる。
「…あの…直ぐ、だから…」
「…ごめん…いいよ…行って来いよ」
「ん」
一瞬、彼の瞳の奥に、悲しそうな色を見たのは、気のせい…なのかな?
「待っててね」
俺はそのまま、脱ぎ散らかされた服をまとめて、バスルームへと駆け込んだ。