第32章 turning point~転機~
でも翔ちゃんは何も言わなくて…
ロックを解除するのに俺を下すと、ドアを開けてさっさと玄関へと入って行ってしまう。
「…智…早く入れよ…」
「…あ、うん…」
酔いもすっかり冷めてしまった俺は、翔ちゃんに言われるままに中に入ると、後ろでドアがゆっくりと閉まった。
俯き加減で靴を脱ぐ俺は、翔ちゃんの視線を全身で感じながらも、気付かない振りをして、そのまま中に入ろうとした。
「智」
不意に、後ろから手首を掴まれ、バランスを崩した俺は、翔ちゃんの胸の中に引きずり込まれた。
「……」
力強い腕が、俺の背中に食い込むように絡みつく。
「……」
「……中、入ろうよ…」
「…ごめんね…智…悩ませちゃって…」
「……翔ちゃん…」
俺を包む腕が、微かに震えている…
「…翔ちゃん、翔ちゃん、翔…俺っ…んっ///」
乱暴に重ねられた唇…貪るように舌先が咥内に捻じ込まれて…
それに煽られるように、だらんと下げたままだった俺の腕も、翔ちゃんを捕まえようと、彼の首にしがみ付いた。
「…っ…ん…ぁ…んんっ…」
熱い舌先は、別の生き物のように激しく俺の咥内を蹂躙する…
「…ん…しょ…ふっ///」
何度も角度を変え、夢中で舌を絡め合えば、酸欠も手伝って、俺は立っているのもやっとになってしまう。
「…翔…あぁ…はぁっ///」
「智…欲しい…」
「翔ちゃん…俺も…」