第6章 運命の深い渦
なんだか、初っぱなっから
甘々な感じで始まった、
俺たちの東北旅行...
俺は当然、ガイドブックを何冊か熟読し、
今回の旅行のスケジュールを立てていた。
「雅紀、最初はやっぱ平泉でしょ!
中尊寺と毛越寺...
そこで、冷麺軽く食べて、
盛岡まで行ってわんこ蕎麦な...
これは、外せないでしょ?
次は、えっと...」
「翔ちゃん...任せてるから。
そんなに1度に聞いても、
覚えられないよ...(^-^;」
雅紀は、端から耳に入ってない感じで、
俺は少しイラッとした。
「だってさ、折角の旅行だし...」
「俺は、翔ちゃんと一緒なら、何でもいいし、
どこでも楽しいの!
翔ちゃんが楽しいなら、
俺も、それだけで幸せだから♪」
「.......」
なんだよ...それ...
そんなこと言われたら、
ナンも言えなくなんだろーが...
そして、雅紀の顔をじっと見ている俺に、
止めのひとこと。
「翔ちゃんの行くとこ、
どこでも付いてきますって♪」
そう言ってニッコリした雅紀が、
可愛くて、
ちょっと憎らしくて、
人差し指の関節で、
彼のこめかみをグリグリした。
まったく...
キスのかわりだっつーの!!