第32章 turning point～転機～

「離れるって言ったって、物理的な事なのかな～？結局は嵐な訳だし、別々に暮らしたからって…大野さんの気持ちが楽になるのか…って気もするけど…　…」

ニノはひとりでそう考えながら話していて、何かに気付いたように眉を動かした。

「ねえ、翔ちゃんはどうしたいのかな？
俺のことが邪魔になった訳じゃないよね～？」

「それはもちろん…そうだけどね…」

急に黙って何かを考え込むようなニノ。

「ニノ～？俺どうしたらいい？」

「うん…翔ちゃんは考えてるんじゃないかな？その後のことも…大野さんと翔ちゃんが、この先どうすればいいか…」

「どうすれば……」

「そして多分だけど、二人が変われば、俺たちの未来も変わってくる…」

「…どういうこと？」

ニノは思案顔で顎を弄っていたけど、不意にパッと顔を上げて、

「まあ、今夜はさ、飲もうよ～…せっかく久しぶりに二人で飲みに来たんだしさ！」

ニノは、半分開いた俺のグラスを取り、ボトルの焼酎を注いだ。


ニノは何か分かったのかな？

その後は、俺がその話題を振っても、するりとかわす様なことしか言わなくて。


なんだかやっぱりモヤモヤした胸の中は晴れることはなく…ニノに進められるままに飲んで…


そしてつぶれた。

一定量を超えると一気に全身にアルコールが回り、
意識を失うんだ…

まあ平たく言えば眠ってしまう。

それは気を許したニノと一緒だから、って訳でもなくて、いつもそうだから。