第32章 turning point~転機~
「翔ちゃん、ごめん…俺…」
「こりゃ、ダメだな~…
びしょびしょで部屋にも入れられそうもないよ~…
取りあえず雨がかからないところに置いておこうか…」
「…ごめんなさい…」
「ええ~?しょうがないよ、忘れたんだろ?
誰にでもあるよ!」
「でも…布団が…」
「残念だけど、また買い直すしかないかなぁ~」
「……」
その羽毛布団は、翔ちゃんのお母さんが、
俺たちの結婚のお祝いにって、
買ってくれたやつなんだ…
なのに…俺…
お義母さんに、何て謝ったら…
「おふくろに、また買ってくれって頼むか~(^^)」
「やっ、やめてよ!そんなこと。俺が大事にしてなかったみたいじゃん!!」
「そんなこと思わないだろ~?忘れるなんて、誰にだって…」
「ダメ!絶対に言わないで!俺が自分で同じの買うから!!」
「…何ムキになってんだよ…言わないよ~
冗談だって」
「…今日は、別の布団で寝て。明日買ってくるから」
「いいよ~、急がなくても…」
そんな事があって、
結局マネの勧めで、その布団は専門のクリーニングに出して、ほぼ新品になって戻って来た。
だから、翔ちゃんは布団のことは忘れてしまったみたいだけど…俺はさ…
そんな事があってからなんだよね。
少しずつ仕事セーブし出したのは…
家のこと、ちゃんとやりたいって…
忙しいとそれが難しいから、ってさ
たくさんの事を一度に回せるほど、
俺は器用じゃないから…