第32章 turning point~転機~
【智side】
新潟旅行の翌日は、朝からよく晴れた。
お陰で、釣りに使ったクーラーボックスを洗って、ベランダに干すことができた。
「よしっと♪」
これならすぐに乾くだろう…
翔ちゃんはマネが迎えに来て、10時には出掛けた。
俺は今日もOFF。
意図的に、仕事をセーブしてきた。
翔ちゃんと暮らし始めて、最初のうちはそんなことなかったんだけど、あることがキッカケで…
俺は仕事を減らし始めたんだ…
あの日は、朝からよく晴れていて気持ちのいい日だった。
翔ちゃんは早朝から地方での取材があると言って出掛けて行き、俺は午後からの雑誌の撮影があって、少しゆっくりしていた。
あんまり天気がいいから、ベランダに布団を干した。
少し陽に当てたらしまうつもりでいたんだけど…
うっかりソファでうたた寝してしまい、
マネの電話で飛び起きたんだ。
「あ、やべっ!!」
寝る気も無かったからアラームも掛けずにいたのが失敗だった…
大慌てでマンションを出て、
……結果、ベランダに布団を干したまま、忘れて出掛けてしまった。
「ただいま~」
翔ちゃんからはもう家に帰っているとLINEがあった。
お土産に、老舗のおはぎを貰ったから食べよう、と書いてあって…俺も楽しみに帰宅した。
そしたら……
「あ……」
ベランダで、布団を触っている翔ちゃんの姿。
俺…布団そのままにして出掛けちゃったんだ!!
運の悪いことに、夕方、
スコールのような雨が降ったんだ。