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Blue【気象系BL】

第31章 僕が僕らしくあるために




俺の長い話を、智は黙って聞いている。

辺りはいつの間にか夜の気配を連れてきていた。


「俺は、智は天才だって、そう思ってる…」
「そんなこと…」

「俺だけじゃないよ…智の作品に触れた人はみんな、少なからず大野智と言う人の非凡な才能を感じている…

智が生み出す作品だけじゃないよ。
智は、俺とは違う…天才って、こういう人だって思うよ」

「もう止めて…そんな風に言われるほど…俺は…」


そうなんだよ…

俺の側で、
俺の横に居続けることで、智が描いたり作ったり、
何かを生み出すことが
出来にくくなっているんだとしたら…

俺たちは、少し距離を置くべきだ。

智の才能を、
こんな形で埋もれさせることは、寧ろ罪だ。



ずっと一緒にいたい

ずっと智の側で、
同じ景色を見ていたい…

同じ音を聞いて
おなじ匂いを嗅いで
おなじ風を感じて


共に寄りそって生きていきたい


でもそれには、

そのためには、


智が、智でなければならないんだ…

それが俺の横では叶わないのなら、
俺は彼の手を離してやらなきゃ……


「智…だから俺たち…」

「やだよ!!何言ってんの??
意味が分かんないよ!!」

「ちょっと、落ち着けって///」

「落ち着いてるよ!
翔ちゃんが、あんまりおかしなこと言うからさ…

ねえ、冗談でしょ?
何かのドッキリ?」


俺の顔を覗き込む彼の目は、、
今にも零れ落ちそうな涙を湛えている…


「さとし…俺は…」

抱き寄せようとしたその瞬間、
俺の頬で、智の手が鳴った。


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