第31章 僕が僕らしくあるために
釣りを堪能し、港に戻ったときには、
もう夕方近くになっていた。
…帰らないと
だけど…その前に…
やるベきことが……
1日面倒を見てくれた船長さんに別れを告げて、俺たちは岐路に着いた。
「あ~、超楽しかったね!翔ちゃん、ほんっとに、ありがと!!」
「いえいえ(*^-^*)喜んでもらえて良かったよ~♪俺だって楽しかったしね~」
「うん!凄いの釣ったしね!!」
「ふたり一緒に…だろ?」
「…ふふふ(^-^)…そだね…」
荷物を積んで、車のエンジンをかけた。
「3人にお土産とか買ってく~?」
「ああ、それだけど、江口さんがさ『他の3人さんにどうぞ』って、笹団子と柿の種、持たせてくれたんだよ~」
「マジで~?それでいいじゃん!魚もあるし♪」
「そうだね…」
「じゃあ、このままレンタカー屋さん?」
「あ…うん…その前にさ、ちょっと海でも見てくか~?」
「ええ~?散々見てたじゃん!まだ見たいの??」
「あ、いや…新幹線の時間には少し早いから…」
「あ、そっか」
少しの緊張感を抱えてハンドルを切る俺に、
智は気付かない。
そりゃそうだろう…
考えもしない事言われるなんて、
思ってもいないだろうしね…
窓の外を見て鼻歌を歌う智…
俺は、しばらく走った国道を反れ、
海水浴場の駐車場に静かに車を停めた。