第31章 僕が僕らしくあるために
開始15分。
ヒットしたのは……
もちろんお分かりでしょうけど(^^;
俺の方。
「あっ!」
「えっ?」
「智…食った…かも」
「かもじゃないよ!凄い引いてるじゃん!」
「う、うん…」
竿を引いた俺の手に、智の手が重なって、
何でだか、キュンッと、心臓が鳴った(≧▽≦)
「翔ちゃん、ゆっくり!慌てないで…結構デカいなっ」
「智に任せるよ」
「ダメだよ!一緒にやんなきゃ!意味ないじゃん!」
「あ…うん…」
……なんだか、いつも見せない智の横顔に
ドキドキする…
『おとこ』を感じてしまう…
竿を握った途端に、この豹変ぶりって(-"-)
初めて見たって訳でもないけど、
今日はいつもの3倍…カッコいい…(*ノωノ)
「よし、イケる?」
↑櫻井には、この字が見えた
「うん…イけそう、かな?」
(なぜか、ひとりで赤面する櫻井)
アタリは小さかったのに、
智が合わせるとドラグ音が勢いよく鳴り続け…
ラインが出ていくばかりでドラグ音が鳴りっぱなし!
「マジかよ…すげ~、大物かも…」
俺の身体を包み込むように、智が竿を操る。
マジでこれ、ヤバいな~(-_-;)
ヒットしてから、釣り上げるどころか、
ラインが止まる気配はなく、左前方の沖へと魚は走っていく。
船長もただ事ではないと顔を見せた。
「ヤバいな…」
「このまま走られると、下手したらラインブレイクだな~」
船長が身を乗り出して、海面を確認する。
「かかってるのは、エラかな?」
「おそらくね…」
「よし、少し強引に引くか?」
「え、ああ、うん…」