第31章 僕が僕らしくあるために
はだけた胸元には、
俺がつけた朱い痕……
呆気ない寝顔とのギャップが、
妙に卑猥に映る…
あ〜あ…
今夜はこれで終了か(^^;)))
せっかく、潮騒を聞きながらの二回戦だったのに…
なんなら智だって楽しみにしてたはず。
その証拠に、
夕べ遅くまで釣りの道具を揃えている横に、しっかり未開封のローションを入れてたし。
それを見て見ぬふりをしていた俺も、
実は期待してたけど…( 〃▽〃)
まあ、いっか…
いつでも出来るんだしね(^^;
明日の釣りもあるんだから、今夜はゆっくり寝かせてあげよう。
「よっこら…しょっと!重っ///」
寝こけた智は、いつもの倍重かったけど、
何とかベッドまで運び、
宴の片付けをお願いした。
「では、明日は7時に参ります…」
「すみません、早くて」
「いえ、大丈夫ですよ。では、ごゆっくりお休みください。」
「はい、おやすみなさい…」
仲居さんが部屋を出ると、俺はさっき使わなかった方の風呂に入った。
岩で出来たジャグジー付きの風呂。
「ああ、マジで気持ちいい…」
泡の中に身体を伸ばし、真っ黒な海を見つめた。
波は静かに打ち寄せる。
周りにある僅かな灯りだけでは、
岩を打つ白い波が、時おり見えるくらいだ。
…………
「……智…」
声に出して呼んでみると、
なんだか不思議と切なくなった。
どうしてこんな気持ちになるのか…
俺を置いて、智が寝てしまったからじゃない…そんなことはいつものことだから…
…………明日、話せるのかな〜…俺…
目を閉じると、
智の幸せそうな屈託のない笑顔が、
瞼の裏に浮かんで消えた。