第6章 運命の深い渦
気がつけば、季節はもうすぐ夏になっていた。
ニノは相変わらず、映画の撮影で忙しく、
大野さんは、趣味の域を越えた創作に没頭する日々が続くことが増え…
松潤。
彼は、俺と別れてから、
一皮も二皮も剥けたと言うか、
中性的で、可愛らしかった彼は、
外見的に大きく変わっていった。
鍛えられた身体は男臭くなり、
俺の後をついて歩いていた松潤は、
どこにもいなかった。
そんな彼が出た映画も、
先輩のバーターとはいえ、
かなりの存在感をアピールしていた。
年上の女優との濃厚なラブシーンも話題となり、
映画館に足を運んだ俺は、
正直、そんな彼の姿に、
瞬きすら、忘れるほどの、
衝撃を受けた。
舌を絡め合うキスシーン、
相手役の女優を愛撫する手つき、
彼女の上で腰を振りながら洩らす、甘い声。
潤……
いつの間にこんなに大人になったんだ…
俺の下で、
目を潤ませていた幼気な少年は、
もう、
どこにもいないんた…
そう思うと、なんだか少しだけ
寂しかった。