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Blue【気象系BL】

第31章 僕が僕らしくあるために




予約しておいた駅前の店でレンタカーを借りる。

免許を提示すると、受付のお兄さんが弾かれたように顔を上げて俺を見た。

予約はネットでしたから、
改めて名前を確認して驚いたんだろう…

何か言われるのかな?と一瞬身構えたけど、
彼は口元だけで少し笑顔を見せただけで、また紙面に目を落とした。

そして、キーを受け取った俺に、
「素敵な旅を!」
と白い歯を見せてくれた。

「ありがと」

俺も負けじと、爽やかに笑ってやった。


ジュニアの中に、いそうな好青年だった。


「さっきの受付の彼…誰かに話すかな?」
「翔くんが車借りたこと~?」
「うん…」
「話さないと思うな~」
「守秘義務、守るタイプか?」
「…それは分かんないけど、何となく信頼できる顔してたかな?と思ったから…」

智のこういうカンって、当たるんだ、いつも。


「よし、行こうか」
「うん♪」


荷物を積んで、智は助手席に乗り込んできた。

「遠いの?こっから」
「うん…1時間くらいかな?」
「結構遠いね~」
「そうだね~、でも直ぐに海沿いに出るから、景色もいいはずだよ」
「ふ~ん…楽しみ♡」

智はそう言うと、シートに深く凭れて、窓の外を見た。


俺は、大切な妻を温泉宿まで連れていかないといけないからね…智の横顔に見惚れてるのもそこそこに、ハンドルを握り直した。


「…♪♪♪♪~♪♪、♪…♪♪♪…♪~♪」


「…虹のカケラだ」
「え?」

智の鼻歌を聞いて曲名を言い当てたのに、
問題の主は、自分が歌を口ずさんでいたことに、気付いてなかった。


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